平衡バランス伝送♪McIntoshトランス式イコライザーT☆後篇

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    開始日時 2024.05.03(金)23:09
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商品説明



   データー解説保存用。商品は売却済。

   別出品の前篇からつづく、これは後篇。頁容量の関係から、解説を前篇と後篇の2出品に分けた。

   前篇はこちら


   =====================================================================

   本機は超高品質を担保出来る。敬意を払う戦闘機の部品を好んで採用した。部品1個が生死の鍵を握るのであるから、当然その性能は破格だからだ。空中戦の最中、迎撃ミサイル発射回路に不具合が起きるとどうなる?パイロットにとってそれは即ち死を意味する。「必死で逃げる」「パラシュートで脱出」なんて考えるのは下衆の極み、論外だ。戦闘機に投入されるような部品には品格と絶対的な信頼が必然的に備わっている。そういった製品の佇まいには超ストイックな美学が醸される。究極の中身を反映した高度な意匠は洗練を超えた超俗=簡素なイメージ。どこか閃きがあり、なんとも美しく哀しい。常に意識化されている極限や死のイメージ感覚が品質マネジメントに潜むからである。このスイッチと ノブ(Avionics Knob)は、それを操作する者を戦闘機乗りの夢に誘う。高度20,000メートル、成層圏の彼方で下界を見降ろす時、頭を過る楽曲とは何だろう?この道具に触れると、想像力に翼が生え、己も自由に世界を飛び回れるような愉快な感覚が湧いて来るではないか。素敵じゃないか。

   私にとって本機がもたらす喜びと楽しみはこの世の幸せである。諸賢らにも是非それを味わって欲しい。

   「ストレート・ワイヤー思想」や「シンプル・イズ・ベスト」等、無難を由とした受け身の生活に魅力を感じなくなった。本機は受動素子のみで組み上げられているが、夥しい多機能スイッチ類は能動的に機能し、人間の眠った本能をいたく刺戟する。各スイッチはオーディオ・ライフに多彩で多様な意味を与える。難易度が高く複雑な配線による音質劣化を無視出来、さらには「濃くと味わい」が乗る「高品位・高精度・高信頼・高耐久の部品」を認識確保できるようになった為である。本機は私=ホモルーデンス(homo ludens)の進化の証である。

   「平衡=バランス伝送」を体験すれば、従来の不平衡=アンバランス伝送の印象が途端に色褪せる。喩えで言おう。それまで観てきた映画がモノクロ単色であったのが、突然に色鮮やかな総天然色(なんとも懐かしい言葉ではないか)になった感じ。この劇的変化は感動的である。

   _________________

   イコライザー各種スイッチに就いて

   _________________

   McIntoshトランスが持つ優れたポテンシャルを引き出す為、「平衡伝送」のパフォーマンスを検証する為、各種スイッチで操作可能にしたのが本イコライザー機能である。

   スイッチ識別表と本体パネル・スイッチと接続端子の位置を照合しながら読んで欲しい。

   スイッチ識別表


   パネル・スイッチ


   接続端子


   以下、スイッチ解説。パネル右側から順に。

   _____________________________________

   1、BAL(BALANCE CURCIT=平衡回路)切替スイッチ上段1-a・下段1-b。

       1-a、トグル上段 HOT 2(NORMAL)/ HOT3 (INVERT)切替。

   _____________________________________

   平衡回路3極XLR入力(本機はLEMO5極を使用するが、ブレーク・アウト・ケーブルのXLR端子と極番は相等)の2番/3番 HOTを選択出来る位相反転スイッチ。MARK LEVINSON等、古い米国製機器は3番HOTが主流であった。平衡回路搭載の機器によっては内部でHOTの2番3番を切替え出来るモノも在るが、基盤プリントの仕様が本来3番HOTの機器ではグラウンド・パターンから遠ざけられているHOTパターンの位置関係から、3番HOTで送り出ししたほうが無難である。このスイッチがあれば、2番HOT/3番HOTが混在する機器環境でも位相変換 XLRアダプターを使わなくて済む。

   トグル下向きで2番 HOT(NORMAL)。トグル上向きで3番 HOT(INVERT)となる。

   このスイッチはまた、音源の「位相管理」にも重宝する。位相を瞬時に換える事が出来るので、正相・逆相を判断し、音場や音像の変化を聴き分ける際に便利。「BlueNote盤は逆相で聴くべし」という都市伝説を比較体験出来る。このスイッチは平衡回路でのみ有効。併設の不平衡回路では無効だが、不平衡回路の位相反転は別途後述スイッチで切替可能。

   ____________________________________

       1-b、トグル下段 GND-IN LIFT=平衡入力グラウンド・ライン切離し。

   ____________________________________

   本機はアナログ・プレーヤーだけでなく、USB- DACやプリアンプの平衡出力の受け渡しが出来るフルバランス(完全平衡)伝送を実現。その際、信号線とグラウンド・ラインは電気的に完全に絶縁された状態に置かれる。本機内部でグラウンド・ライン(1番)から信号線(2番と3番)にノイズが乗る事は無い。しかしながら本機の前段に繋がれる不完全な平衡機器や不完全な平衡ケーブルのグラウンド・ラインから先天的にノイズが混入する厄介なケースが有り得る。スタジオ環境では照明器具が放射する電磁波や、数多のケーブルがテンコ盛りのスパゲッテイ状態その他の要因でグラウンド・ラインに各種誘導ハムやノイズが混入する事がしばしば確認されている。これに対処する為にはグラウンド・ラインの結合を何処かで遮断してしまえば良い。それを本機器の入力段で実現するのがこのスイッチ。スタジオ機器には大抵装備されている。家庭環境でも電磁波を放射する蛍光灯、携帯電話、コンピューター、 TV等々、そしてケーブル縺れ等日常茶飯事の昨今の汚染されたオーディオ環境。あれば心強いスイッチ。平衡回路でのみ機能。不平衡伝送ではグラウンド・ラインを切ると音は出ないが平衡伝送ではグラウンド・ラインを欠いても信号の受け渡しが成立するのである。では、平衡回路では GND(グラウンド)は必要無いのか?と云う疑問を持たれる向きがあるかも知れない。が、もちろん無くてはならない。グラウンドとアースの問題は大変厄介で奥が深い。専門家に依れば、詳細を語るには世界大百科事典全20巻程のボリュームを要すると云う。各自各レベルで学習するしかない。ここでは省かざるを得ないが、簡単な説明を以下に記す。

   通常、GNDとは信号用グラウンドの意味であり「基準電位」を意味する。多くのオーディオ機器では信号は電圧伝送される。すなわち、基準電位に対する電位差によって電流が生じ、これによって信号が伝達される。異なる機器間で信号を伝送するためには、両者あるいは各機器間の GNDレベルが一致している必要がある。それを揃えるのがグラウンド(GND)ラインである。「アース」との区別も重要だが省く。

   トグル下向きで平衡回路のグラウンド (GND= XLRでは1番端子)は INからOUTまで電気的に結合。トグルを上向きにすると、 IN(入力)側でグラウンド線が電気的に絶縁され、グラウンド・ラインは平衡回路上では所謂「浮いた(LIFT)」状態となる。もし前段機器のグラウンド・ラインに問題がある時は此処で遮断し対応できる仕組み。環境問題の有無を検証出来るスイッチでもある。後述する別途「平衡回路専用のグラウンド・ポスト(水色)」は本機の平衡回路OUT(出力)側とは常に結合状態。本機と結合する他の平衡回路搭載機器とのグラウンド・ラインの取回しはこの「平衡回路専用グラウンド・ポスト」を介しても出来るよう按配されている。親切設計。

   平衡回路専用の水色GNDポスト(すぐ上の白色 GNDポストは不平衡回路の Lチャンネル専用)


   このスイッチ1-bは平衡回路専用。不平衡回路では無効。不平衡回路 (RCA端子)専用のグラウンド・リフト(?後述説明を要する)スイッチは別途用意されている。

   ___________________________________________

   2、SEL(SELECTOR=回路選択)切替スイッチ上段2-a・下段2-b

       2-a、トグル上段 OUT(=出力側) LEMO 平衡回路 / RCA 不平衡回路

       2-b、トグル下段 IN(=入力側) LEMO 平衡回路 / RCA 不平衡回路

   ___________________________________________

   平衡回路と不平衡回路は、4極トグル・スイッチで切替選択する方式を採用した。入出力共にトグルを上向きにすると「完全平衡(フル・バランス)回路」仕様となる。この場合、LEMO端子での入出力のみが有効(電気的に結合)となり、 RCA端子での入出力は無効(電気的に絶縁)となる。その逆、入出力共にトグルを下向きにすると「汎用不平衡(アン・バランス)回路」仕様となる。この場合、 RCA端子での入出力のみが有効となり、 LEMO端子での入出力は無効となる。2つの異なる回路はこの場合、電気的に絶縁されている。入出力ともに2系統装備されるので、このスイッチは回路変更であると同時に、入力2系統、出力2系統を意味し、それを選択するスイッチにも成る。片や平衡機器、片や不平衡機器。2機種をケーブルで繋いだまま、適宜選択使用できる。グラウンド・ライン(ポスト)も各々の回路専用に分離用意されているので異なる回路間の電気的相互干渉は理論上起こらないよう設計されている。

   本スイッチを使えば、所謂「ダイレクト・ボックス」のような「インピーダンス変換」と「不平衡から平衡信号への変換」も実現する。ダイレクト・ボックスの詳細は以下参照。

   Wiki ダイレクトボックスとは


   例えば、マイク入力信号(5KΩ不平衡)を本器の出力側OUT(RCA端子)に繋ぎ、インピダンス変換した出力信号(600Ω選択平衡)を本機の入力側 IN(LEMO端子)で 600Ω平衡出力として送り出し(XLRブレークアウトケーブル使用)100m離れたプロ用平衡機器と繋げることも出来る。600Ω平衡伝送なら長距離伝送でもノイズの心配は無用。その場合は本機搭載のダンピング機構(後述=DPG.VAL(R/C))は「NONE」ポジションで使う。トランスを使用したダイレクトボックスはパッシブ・コンポーネントなので、電子式のそれに比べ音質やSNでも断然優位。

   DPG.VAL(R/C)=赤のロータリー・スイッチ


   本機スイッチ2a/2bを使えば1つの道具で「3つの変換」が同時に実現する。「インピダンス変換」、「電磁波変換」そして本スイッチに依る「回路変換」である。

   「不平衡/平衡・回路変換」装置として本機を使用する場合、道具としての可能性・利便性、そして魅力は更に増す。先に述べた「ダイレクト・ボックス」然り。その他諸々。最新の電子式平衡回路搭載の DAC(デジタル・アナログ・コンバータ)や平衡出力を備えたCDプレーヤーのアナログ(低インピダンス)平衡伝送信号は本機トランス式イコラーザーで「インピダンス変換」される。「電磁波変換」で窯変した高品位音声信号を、今度は「平衡/不平衡・回路変換」し、薫り高いヴィンテージ機器の不平衡(高インピダンス)入力に送り込むと云う「一挙三得」変換手法はウルトラC級の超絶技のように思える。難易度の高い技を見事な着地で決めて見せる美学にはスマートな官能がある。気の利いたスイッチ回路は謂うなれば「捻り技」である。

   パソコンからインターネット経由で簡単に入手出来る「YouTube」のデジタル音源をUSB-DACでアナログ変換する。平衡伝送された高品位「平衡アナログ信号」を本機で高品位「不平衡アナログ信号」に変換する。不平衡回路しか持たないヴィンテージ真空管アンプに繋げる。もっと普及してよい手軽な音楽の楽しみ方だと思うのだが・・・・

   高品位MCカートリッジの音声信号を平衡あるいは不平衡伝送し、本機トランスで回路選択変換し、不平衡機器、平衡機器と繋げ、聴き比べをする。高度なオーディオの楽しみ方だと思う。

   入力が不平衡で出力は平衡に、あるいは入力が平衡で出力は不平衡に、という混合回路設定は所謂「ハイブリッド仕様」と謂える。この「ハイブリッド仕様」の場合、本機に繋がれる不平衡機器のグラウンド線は本機の平衡回路専用のグラウンドGNDポスト(先の水色GNDポスト)に繋ぐことになる。異なる回路間の電位は揃う。異文化を統合するのが「グラウンド・ライン」。オーディオに於ける「グラウンド」とは斯様に重要なモチーフなのである。

   余談であるが、 XLR端子と RCA端子を併設し、切替スイッチが無い所謂「パッシブ型」機器は「似非平衡回路」である。2種の異なる回路(平衡/不平衡)は電気的に絶縁されておらず2つの回路で信号線とグラウンド・ラインが共有されている。市場に多く出回るのはこの偽物(安普請)仕様である。この場合XLR端子は見せかけだけで、実態は不平衡伝送回路である。グラウンド線が2本の信号線から電気的に絶縁されて(浮いて)いなければ後述する平衡伝送のメリットは無いからだ。ナンセンスである。 XLR端子が付いているだけで錯覚し喜ぶ、大衆向け廉価商品は、安くてリーズナブルだと誤解される。メーカーのミスリードである。注意が必要。

   ホンモノの「平衡伝送」と汎用「不平衡伝送」の違いを公平に比較検証出来ないだろうか?「平衡伝送」って、本当に優れているのか?そんな疑問に上手く応えてくれるのが次なるスイッチ。理屈でななく「平衡伝送の凄さ」がこれで実証実感出来る。

   __________________________________________________________

    3、PLRT/PH(POLARITY/PHASE=極性/位相)切替スイッチ上段3a・下段3b

       3a、トグル上段 PRI( PRIMARY=トランス1次側) INV( INVERT=逆相)/ NORM(NORMAL=正相)

       3b、トグル下段SEC(SECONDARY=トランス2次側)INV( INVERT=逆相)/ NORM(NORMAL=正相)

   _________________________________________________________

   極性標示記号の意味は以下の通り。

   I.H=Inside Hot、すなわち巻始(INDIDE)がプラス(HOT)という意味。

   O.H=Outside Hot、すなわち巻終(OUTSIDE)がプラス(HOT)という意味。

   このスイッチは平衡回路及び不平衡回路両方で有効。

   以下の説明はやや難度が高いかも知れない。理解するには「シグナル・シールドとその効果」に就て予備知識が必要。

   トランスの巻線には1次側(PRIMARY)と2次側(SECONDARY)がある。それぞれのコイルには巻始(INSIDE)と巻終(OUTSIDE)がある。ではコイルの巻始と巻終、どちらをプラス(HOT)にすべきか?あるいはマイナス(COLD)にすべきか?特に不平衡回路の場合、それも信号を増幅する昇圧トランスの場合、この極性課題は大きな関門となる。不平衡回路では鉄則と謂える適正(正相)ルールがある。極性が不正(逆相)だとちょっとした不幸に見舞われる。

   本機搭載の McIntoshトランスATI-1の極性仕様は50W2アンプ回路図の指示に準じている。スイッチ上段3a、下段3bのトグルを共に下向きにすると正相すなわち標準(NORMAL)仕様となる。適正ルールと同じである。すなわち1次側コイルの巻終(OUTSIDE)、2次側コイルの巻始(INSIDE)が共にプラス(HOT)。

   言い換えれば、1次側コイルの巻始(INSIDE)がマイナス (COLD)であり、2次側コイルの巻終(OUTSIDE)がマイナス(COLD)。これが汎用の鉄則でこの状態を正相とする。この文脈に直ぐに「AHA!」と反応したマニアは経験値の高い人である。

   では、鉄則を破ればどうなるのだろう?逆相だとどうなるのか?スイッチ操作で検証出来る。

   先ずは下段スイッチ3bのトグルを上向きにし、入力側にある巻数の少ない2次側(SEC)コイルの極性を不正=逆相(O.H=巻終プラス)にしてみる。すると、ノイズが若干ではあるが発生するのが判る。トグルを元の下向き(正相)に戻す。

   今度は上段スイッチ3aのトグルを上向きにし、出力側にある巻数の大きな1次側(PRI)コイルの極性を不正=逆相(I.H=巻始プラス)にしてみる。すると、盛大なノイズが発生するのが判る。

   ノイズの正体は各種歪みである。内訳は多くの説明を要するので省く。では何故適正=正相の場合だとノイズは生じないのだろう。ここでの適正=正相とは1次側コイルの巻始(INSIDE)がマイナス (COLD)に繋がれ、2次側コイルの巻終(OUTSIDE)がマイナス(COLD)に繋がれる状態を謂う。もうお分かりだろう。鉄心に巻かれたコイルの最も内側とコイルの最も外側をマイナス(COLD)極にすればシグナル・シールドがトランス全体をすっぽり覆う格好になる。

   1次側逆相ケースで起こる「盛大なノイズ」の仕組みを説明しよう。マイナス(COLD)極を最後尾=巻終に当てた場合、最先頭=巻始から最後尾=巻終までの1次側コイル全部が「シグナル・シールド」されず、全く無防備で磁界に晒されることになる。吹雪の真っ只中、厚手のズボンがずり落ち、尻がまる出しになった姿を想像して欲しい。ちょっとした不幸だ。2次側逆相ケースで起こる「微細なノイズ」は巻数が少ないから影響を受けるコイルの長さが短いから。

   以上は3a、3bの極性変更スイッチを操作した際に起こる「不平衡(アンバランス)回路」でのイヴェントである。では平衡回路ではどうか?

   IN/OUT共に「完全平衡(フルバランス)伝送」を実行する。そしてスイッチ3a、3bで極性を交互に操作する。正相では当然問題は起こらない。そして各トグルが上向きの逆相ではどうか?何も問題が起きないのだ。平衡伝送ではトグルスイッチがいかなる位置にあろうともノイズの存在が感じられないのだ。つまりノイズが消えるのである。何故そうなるのか?理由はこうだ、磁界で発生する各種ノイズはイビツな波形として2つの平衡信号(HOT/COLD)のどちらかに入り込む。平衡伝送路内では本来の美しい正負の正弦波以外のイビツな波形のみがプッシュプル動作で互いに打ち消し合うという振る舞い(相殺)がある。結果美しい正弦波のみが送られるという訳。平衡伝送がノイズにめっぽう強いと言われる所以である。この仕組み、侵入ウィルスをやっつける人体の免疫機能と似ている。不平衡回路しか知らない初心者が体験でこの事実に直面したら素直に驚き、感動すると思う。

   先の不平衡回路に於ける「盛大なノイズ」とはやや誇張した言い方かも知れない。何故なら平衡回路を全く経験した事のない者はこの程度のノイズはアナログ回路、それもトランス伝送には常に付きまとう、避けられないゆえに当たり前の事、さして気にするほどではない些少のイヴェントとして受け入れてきた経緯がある。私もそうだった。トランスには付きものの当たり前のノイズだと思っていたのが平衡回路では見事に消える。平衡伝送の初体験が齎すカルチャー・ショックとそのマグニチュード規模が如何に大きいか、そのサプライズ体験は既成概念を一気に払拭する程なので「盛大な」と云うフレーズが無理なく出て来るのである。平衡回路の「圧倒的にノイズレス=静粛」な環境を体験した者は誰しも不平衡アナログ回路の環境が「盛大なノイズ」に汚染されていた事に気付くのである。「圧倒的にノイズレス」と「盛大なノイズ」どちらの環境を選ぶ?

   この3<PLRT/PH>スイッチ、本来は音質の違いを楽しむために設けたスイッチであった。しかしひとたび平衡回路での体験を踏まえると不平衡回路では鉄則すなわち正相ルール以外は選びたくなくなる。逆相だと必然的にノイズが出ると云う事が分かっているからだ。では平衡回路ではどうか?結論から云うと、正相、逆相での音質の違いはほとんど感じられないか、あるいは無いに等しいと言える。どちらであろうとノイズレスは言うまでもない。様々な環境や条件に左右され難い「平衡回路」のこれが特質である。

   では何の為の極性切替スイッチなのか。検証の為である。これは「不平衡回路専用」の極性切替スイッチであることに変わりない。ところがこのスイッチの存在で平衡回路の機能と優秀性が誰にでも再現・認識出来ることも解った。検証スイッチは当初の目論見と機能を超えて期待以上の成果を齎したのである。私が多機能スイッチにこだわる理由はこうした思わぬ発見やサプライズが常にあるからだ。複雑な配線が面倒で、当初躊躇ったが、スイッチの起用を決断したことに今は喜びを感じている。何事も無駄だろうとか厄介だろうとか自己合理化せずに「まずはチャレンジしてみること」これが大事である。スイッチ一つで、机上の空論を打ち砕いたり、客観的、実証的な検証が出来るのである。素晴らしい事だと思う。

   「ストレート・ワイヤー思想」や「シンプル・イズ・ベスト」等、無難を由とした受け身の生活に魅力を感じなくなった。本機は受動素子のみで組み上げられているが、夥しい多機能スイッチ類は能動的に機能し、人間の眠った本能をいたく刺戟する。各スイッチはオーディオ・ライフに多彩で多様な意味を与える。難易度が高く複雑な配線による音質劣化を無視出来、さらには「濃くと味わい」が乗る「高品位・高信頼・高耐久の部品」を認識確保できるようになった為である。本機は私=ホモルーデンスの進化の証である。

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    4、SHLD(SHIELD=シールド)切替スイッチ上段4a・下段4b

       4a、トグル上段 XFMR( TORANFORMER=トランス・ケース・シールド)LEMO( 平衡回路シールド)/ OFF(シールド無)/RCA(不平衡回路シールド) 

       4b、トグル下段ES(ELECTRIC SHIELD=トランス内静電シールド)LEMO( 平衡回路シールド)/ OFF(シールド無)/RCA(不平衡回路シールド)

    5、SHLD(SHIELD=シールド)切替スイッチ上段5a

       5a、トグル上段CHAS( CHASSIS=鉄函シールド)LEMO( 平衡回路シールド)/ OFF(シールド無)/RCA(不平衡回路シールド)

   ___________________________________________________________________________________________________________

   3種類あるシールド切替には全て3段(下向/中位/上向)式トグル・スイッチを使用。下向は「不平衡回路」専用、上向は「平衡回路」専用、中位は「ノン・シールド」。

   回路別にしたのはグラウンド(GND)ラインの性格の違いから。不平衡回路では信号線のコールド(マイナス)側がグラウンドを共有することになるので、シールドは全て「シグナル GNDシールド」となる。シグナル GNDの接地問題は、アース・ループと共通インピダンスという、いわば矛盾した問題を抱えているたいへん厄介な事案。完全に折り合いをつける事が出来ない。ベストが無いなら、試行錯誤を重ねながら最適の方法を見つける方法がベターであると云う考え方。

   シールドの主たる目的は、電磁波、電界、あるいは磁界の侵入、あるいは漏洩を防止する為のもの。信号線の電磁界封じ込めに拠るノイズ排除であるが、環境によってはグラウンド・ラインがアンテナとなって電磁誘導ノイズや静電誘導ノイズを呼び込む等、シールドがノイズを誘発する場合がある。シールドが却って音を悪くすると云う知見は古くからある。殊に不平衡回路に於いては「シールドは両刃の剣」とはこの事。多くの場合、シールドの不適格(杜撰さ)が原因。シールドを構成する全ての部分は電気的に確実に接続させるのが基本である。 シールドの接合部で電磁波が漏洩するような隙間を生じさせないことが必要であり、増幅された磁気歪みが信号線に混入し、大きな雑音となって音楽信号を阻害する。

   使用環境や条件で3種それぞれ「シールド/ノンシールド」を操作出来るきめ細やかな仕様でオーディオ検証を測りながら、静粛な音場や美しい音質を確保出来る。遊びながら、楽しみながら音を訴求する。オーディオの醍醐味がある。もしノイズが出なければシールドは基本的に外すというのが私の経験則である。

   3種ものシールド効果を不平衡回路に於いて検証出来るような仕様は以前から私の関心事であり、今回もそれに倣った。「グラウンド、アース、シールド」問題は経験を重ねれば重ねるほど大変厄介であることが分かって来る。一筋縄ではいかない。より間口を広げ、柔軟な対応が必要だと気が付く。それだけに疎かには出来ないのである。先の極性スイッチの所でも述べたが、これは意義あるこだわりなので再度繰り返す。ケースバイケースで方法論を選択操作確認出来るという「スイッチの発想」が私は好きだ。曖昧な議論や考察を重ねて時間を無駄にするよりは、直ぐに結果を出せる実践的なやり方が私の性に合っている。多様性と可能性に期待を寄せるというのは、そこに「常に発見の嬉びと驚き」があるからに他ならない。

   不平衡回路では5a( CHASSIS=鉄函シールド)の効果が極めて顕著であることに気付く。鉄函本体は左右2枚のカバーで蓋をする構造。蓋は、大抵は歯付きワッシャー等で締め付けるが、これでは絶縁塗装や片側だけの緩い締め付けによる接地ムラなどでシールドは不完全である。本機では鉄函本体にフレーム・グラウンドの為の太い基準ボルトを取付、強固な両締めで固定。

   鉄函本体のグラウンド・ボルト穴周辺の塗装剥離


   鉄函本体の貫通「基準」グラウンド・ボルト(両締め)


   鉄カバーの貫通グラウンド・ボルト(塗装剥離/両締め)


   シールド強化の為に使用したグラウンド・ライン用LENZ縒り線(綿被覆)


   2枚の鉄カバーにも貫通ボルトを取付、同じく強固な両締めで固定している。本体とカバーは太いアース・ライン(ヴィンテージLENZ製縒り線使用)で繋ぎ、「対磁気・電磁気」完全密封シールドの徹底と電位の安定を図っている。このような手当てをした場合、しなかった場合と比べると、音はより前に出てくる。これも経験則である。

   平衡回路ではグラウンド・ラインは2つの信号線から電気的に完全に浮いているので、シールドの効果や影響は不平衡回路の時と比べて「少ないかあるいは全くない」と言える。平衡回路の凄さを此処でも確認できる。

   メーカー製では手間暇即ちコストを考えるのでこんな機能は到底実現しない。アマチュアのハンドメイドなら採算を度外視して夢が実現出来る。

   ____________________________________

   5b、DMGZE(DEMAGNETIZE=消磁・兼 MUTE=消音)切替スイッチ下段

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   トグル左端下段。DEMGNETAIZE(消磁)機能。トグル下向でOFF。上向で消磁開始。この時同時にMUTE(消音)ONとなる。

   スウィッチONで左右出力(OUT)側のHOT/COLDが短絡。CD演奏しながらこのスウィッチをONにすると、閉鎖回路内で再生信号の交流電流が還流する。一回の操作時間目安は30秒程度、トランス・ユニット内部にも交流電流が循環し消磁される仕組み。回路に抵抗値0Ω(オーム)が挿入される格好で当然この時再生音は出ない(正確には極小レベル、かすかに音は漏れる)。トランスの帯磁は、テスター事故以外にも常時リスニング環境とその動作中に、些少ながら進行する。これに日常的に対応する知恵。 オーディオ発信器に頼らずに出来るスマートな簡易消磁法。以前はOUT側端子にショート(SHORT)ピンを差込んで定期的に消磁を行っていた。面倒で あった。それを解消した。嘗てテープデッキ専業メーカーが発売した畑違いの高級フォノ・イコライザー・アンプにもこの簡易消磁スウィッチが設けられてい た。平衡/不平衡どちらの回路でも有効。

   MUTE(消音)スイッチを兼ねる。 アナログでMC昇圧トランスとして使用する際は便利。このスイッチを使い、アンプへの信号流入を瞬時遮断出来る。レコードの架け替えや、カートリッジの針先にブラシを使用する際などはアンプのボリュームをいちいち弄る必要が無い。終日アナログを楽しむなら、ストレスとフラストレーションを軽減出来るこれは、もっと普及して良い機構だと思うが。手間とコストを何故嫌うのか?

   _______________________________

   6、 RCA・GND(不平衡回路グラウンド短絡)切替スイッチ

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   トグル・スイッチの最後は左端の白色ロータリースイッチの下にあるもの。

   RCAグラウンド短絡スイッチ


   下向で短絡、上向で切離し。不平衡回路(RCA端子)のみ有効。平衡回路は一切影響を受けない。

   不平衡回路では信号のコールド側がグラウンド・ラインを兼ねるのでグラウンド・ラインが結合されていないと伝送信号は途絶え音は出ない。トランス伝送の場合、1次側と2次側が電気的に絶縁状態でも電磁波結合でグラウンドはともかく繋がる。音声信号も伝送される。しかしアナログ信号のPHONO小出力レベルではインピダンスや電位が高く不安定となり、グラウンド・ループも重なってそのままでは大きなノイズが生じる。 CD等の高出力レベルでは若干のノイズは出るものの実用上は短絡しなくとも問題無く音楽は聴ける。トランス使用の不平衡回路では対策としてグラウンド・ラインは無条件で短絡手当てして使われる事が多い。短絡の場所はトランスのタップ間で行えば最短であるが、そうすると平衡回路が意味を成さないので、本機では不平衡回路のRCA端子間で操作機能させる。

   本スイッチの狙いは不平衡回路に於けるグラウンド接地/不接地に於けるノイズの有無とノイズ・レベルやノイズ種類の検証聴取である。電位差、グラウンド・ループ多寡によるノイズ体験が出来る。

  トランス使用不平衡回路の場合、グラウンド・ラインはグラウンド・ループと共通インピダンスの問題を鑑みると、機器間の最先端と最後方が電気的に結合すれば問題はないのである。本機のグラウンド短絡を切り離し、別途グラウンド・ラインを手当てし、電位差ノイズやグラウンド・ループ・ノイズを確認回避する事も可能である。かなり上級者向けのスイッチである。不平衡回路が抱える多くの問題を再認識出来、平衡回路の優位を学べるスイッチでもある。初心者はこのスイッチを常時下向きにして弄らなければ良い。

   次は3種3色のロータリースイッチ群。左端から右へと紹介する。

   3色ロータリー・スイッチ群


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   7、SEC.IMPD(SECONDARY IMPEDANCE=2次側抵抗値)切替ロータリー・スイッチ

   白色ロータリー


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   平衡/不平衡回路共に有効。トランスの2次側はタップの選択で3種の抵抗値を創生出来る。接続機器の出力インピダンスに合わせて、本機の入力インピダンスの選択が可能。3択は、50Ω、250Ω、600Ω。今回使用したロータリー・スイッチ3個は全て米軍戦闘機に使用されている高品位、高精度、高信頼、高耐久の折紙付軍用規格品(GRAYHILL製)新品を当てた。高度シールド密閉構造なので生涯メンテ不要で故障の心配とは無縁と云える。

   本機は超高品質を担保出来る。敬意を払う戦闘機の部品を好んで採用した。部品1個が生死の鍵を握るのであるから、当然その性能は破格だからだ。空中戦の最中、迎撃ミサイル発射回路に不具合が起きるとどうなる?パイロットにとってそれは即ち死を意味する。「必死で逃げる」「パラシュートで脱出」なんて考えるのは下衆の極み、論外だ。戦闘機に投入されるような部品には品格と絶対的な信頼が必然的に備わっている。そういった製品の佇まいには超ストイックな美学が醸される。究極の中身を反映した高度な意匠は洗練を超えた超俗=簡素なイメージ。どこか閃きがあり、なんとも美しく哀しい。常に意識化されている極限や死のイメージ感覚が品質マネジメントに潜むからである。このスイッチと ノブ(Avionics Knob)は、それを操作する者を戦闘機乗りの夢に誘う。高度20,000メートル、成層圏の彼方で下界を見降ろす時、頭を過る楽曲とは何だろう?この道具に触れると、想像力に翼が生え、己も自由に世界を飛び回れるような愉快な感覚が湧いて来るではないか。素敵じゃないか。

   GRAYHILLロータリー・スイッチと美しい意匠の「Avionics Knob」軍用機ノブ


   F-15戦闘機コックピットのGRAYHILLスイッチ群


   MC昇圧トランスとして使用する場合、カートリッジのインピダンス整合に利幅が大きい。利得は50Ωだと+20 DB=10倍、250Ωだと+13DB=4.4倍、600Ωだと+9.2DB=2.8倍。スイッチ操作は面倒な配線のやり繰りをしないで瞬時に適合を選択出来る。SPU、EMT、NEUMANN DST、DENNON DL-103系、FAIRCHAILD系、様々なトライアルを実現出来る。

   PHONO MCカートリッジとMCトランスとの信号の受渡は断然「平衡伝送」が良い。私の場合はLEMO5極プラグ付平衡ケーブル1本で済ます。グラウンド・ラインが1本なので左右のクロストークやループが先天的に存在しない。スマートな手法だと思う。

   phono平衡伝送と LEMO5極端子付平衡ケーブル


   600Ω平衡伝送では、 PCオーディオや DAC等々、デジタル変換機器の受渡に本機トランスの窯変効果が威力を発揮する。デジタルノイズ、スパイクノイズの軽減にも役立つ。 XLR変換ブレークアウト・ケーブルを使えば、 XLR3極×2-LEMO5極の平衡伝送が実現する。

   XLR-LEMO変換ブレークアウト・ケーブル


   1次側5KΩを平衡入力、2次側(600/250/50Ω)を平衡出力として、ハイ・インピダンスヘッドフォンの平衡ドライブを楽しむことも出来る。減圧仕様となるが YOUTUBEなどの楽曲モニターに重宝している。この場合、ダンピング終端機構(後述)はOFFにする。ヘッドフォンの平衡ドライブの優位性を一度認知すると不平衡ドライブにはもはや戻れなくなる。音場の立体感、位相特性に格段の優劣があることが比較で分かる。私はヘッドフォンの入力端子を、3極(ステレオ不平衡)PHONEから5極(ステレオ平衡)LEMOに改造している。諸賢らにもお勧めする。

   ハイ・インピダンス・ヘッドフォンの平衡ドライブ


   次に紹介するのは中央に位置する黄色ロータリースイッチ。

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   8、LINE/PHONO(入出力ライン短絡)切替スイッチ

       XFMR(TRANSFORMER=トランス経由モード)PHONO/MCカートリッジ・モード

       JMPR(JUMPER=短絡=トランス非経由モード)PHONO/MMカートリッジ・モード

   黄色ロータリー


   スイッチ識別表 LINE/PHONO参照


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   平衡/不平衡回路共に有効。入力と出力を短絡するスイッチ。

   <XFMR>ロータリー指標12時位置(PHONO MCモード)で入力信号はトランスを経由する。<JMPR>ロータリー11時位置(PHONO MMモード)で入力信号はトランスを介さずに出力端子へ跳越・短絡される。コイル成分を完全に排除するために、8極2段ロータリー・スウィッチを使用。以前は4極トグル・スイッチ2個(計8極)使い左右(R/L)独立とした。上下2つ(L/R)のレバーを同時に操作する2手間を要したのを今回は1手間操作で済むようにした。該当部品を以前は入手出来なかったからである。配線はやや複雑困難になり、コストも余計に掛かるが、この方がスマートでストレスが無い。

   不平衡回路でよく見かける簡易PASS(MC/MM切替)スウィッチは左右IN/OUTのHOTラインのみを短絡させるケースがほとんど。COLDはINもOUTもベタアースがほとんど。4極あるいは2極トグル・スイッチ1個で済むが、これだとHOT/COLD間にコイルの1次2次が並列に繋がったままの格好になり、コイル抵抗成分とその効果がラインの音質に反映されてしまうので落第である。確かな比較検証が出来ない。斯様な杜撰なスイッチを使うくらいなら、問題のMCトランスを外し、MMカートリッジの信号ケーブルをアンプのPHONO入力に直結した方が賢い。

   本機搭載のパーフェクト・スイッチならば、斯様なわずらわしさから解放される。DENON DL-103を聴くときはMCポジション(12時)、トランスを内蔵した SPU-GTやMMカートリッジを聴くときはMMポジション(11時)にロータリーの指標を合わせるだけ。 <JAMPRモード>ではトランス・コイルの干渉と影響は完全に排除される。カートリッジを付け替えたときに、その都度ケーブルを抜き差しする手間が省ける便利な機構である。

  このスイッチを使えば、トランスを経由した音パフォーマンスとトランスを経由しないでIN/OUTを短絡させたライン信号のスッピンの音パフォーマンスの比較検証が瞬時に正確に出来る。トランスの素性や性能を知るのにたいへん重宝するスイッチ。トランスを介すると、元の信号にあったはずのノイズが軽減されたり無くなるケースがあることも分かる。

   CDプレーヤーを本機トランスを介して、その音を聴き続けた後、このスウィッチ切替で今度は素っぴんのライン信号を聴く。毎回愕然とする。「こんな酷い音をCDプレーヤーは送り出しているのか」と判るのである。CDプレーヤー等のデジタル機器が宿命的に抱えるデジタルノイズ、スパイクノイズが抑制され、音場定位の明確化にトランスが摩訶不思議な力を発揮していることがよく判る。 Mcintoshトランスに依る「窯変」効果が確認出来る。「音味」という要素を科学的に検証する為の方法論に無くてはならない機能と思う。

   3つ目のスイッチは右端の赤色ロータリースイッチ。

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   9、DPG.VAL(DUMPING VALUE=ダンピング定数)切替スイッチ(R/C)(RESISTOR=抵抗/CONDENSOR =コンデンサー)

       202K/118K/47K/18K/5.6K(終端抵抗・定数値)NONE(非終端)    

   赤色ロータリー


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   平衡/不平衡回路共に有効。トランス伝送での問題点は、周波数が安定しないことだと言われる。それでも敢えてトランス、それもヴィンテージ McIntoshの名品を使うことに拘るのは近代の電子回路がどう逆立ちしても敵わない「静粛さ、音質の良さ、何よりもその独特で凄みのある濃い音味」が得られるからだ。現代オーディオが疾に失った比類なきパフォーマンスとの再会は、新発見にも似た新鮮と驚き、そして大きな感動がある。麻薬のような摩訶不思議な力(FORCE)が名トランスMcIntosh ATI-1の偉力。これだからヴィンテージ・トランス遍歴は止められない。

   一般的なマイク用トランス等の場合、多くは50KHZ~200KHZ辺りの何処かにピークが出ることが知られている。可聴帯域外の振る舞いが可聴帯域内の音に反映され何がしかの影響を与える。周波数特性は出来れば全部フラットにしたいものだ。そうすれば面倒は起きないだろう。トランスの周波数の暴れは抵抗とコンデンサーを終端(ターミネート)し制動(ダンピング)出来る。しかし一方で「ピーク」が音に微妙な変化を与えて却ってオーディオ的にそちらの方が面白くなるという場合だってある。「ならば、負荷の有無と種類で音と周波数がどう変化するか試してみようじゃないか」と云うのがこのスイッチの目論見。複合的に物事を検証出来ればオーディオの楽しみはもっと拡がる。

   アマチュアお手製のMC昇圧トランスなどはこうした面倒なスイッチ機構は悉く省かれる。よって「ハイ上がりやドンシャリ」がオーディオの醍醐味だと誤解され、そのような歪(イビツ)がむしろ普通だとされ、とやかく言わない事に慣れてしまっているというのが現状だろう。音楽を長く気持ち良く聴きたいと願う者にとってはこれは耐え難く我慢ならない時もある。そんな理由もこのスイッチに込められている。

   様々なMCカートリッジを使用出来る様、またそれぞれに応じたきめ細やかな周波数補正が出来る様、考えられた機構。MCカートリッジとトランスの入力インピダンスがピッタリ整合すれば基本的に終端の負荷は不要と考えられる。しかし厳密なるインピダンス整合は本機の3択入力(50/250/600Ω)スイッチでは無理がある。補完として終端抵抗によるダンピング機構で適応の幅と奥行きを持たせた。 NONEポジションもあるので効果の有無を検証できる。

   トランス1次側=出力側のHOT-COLD間に様々な定数の負荷を掛けて周波数の暴れをダンピング(制動)する。今回は、抵抗素子の定数に見合った定数のコンデンサー素子が抵抗素子と平行に追加終端されている。

   負荷定数回路基板


   コンデンサーの定数は所謂「ハイパス/ローパス・フィルターの計算式」を応用して求めた。フィルター時定数は周波数25KHZ辺りを想定して入力計算した。ネットで便利な自動計算アプリが色々あるが私が用いたのは此方。

   定数自動計算アプリ


   使用された抵抗とコンデンサーの定数は以下の通り。

   202K/33P 118K/50P 47K/140P 18K/330P 5.6K/1130P

   ___________________

   10、グラウンド・ポストに就いて

   グラウンド・ポスト


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   本機には4つのグラウンド・ポストを設けた。上段の白・赤は 不平衡回路(RCA)専用。左の白ポストがLチャンネル・グラウンド、右の赤ポストがRチャネル・グラウンド。何れもOUT側で接地。シグナルGNDは白ポスト=Lチャネルのみ接地。下段左、青ポストは平衡回路専用。右のニッケル・ポストはフレーム(鉄函)グラウンド。函本体底面の基準ボルトと結合。

   不平衡回路のグラウンドは L/Rそれぞれ専用。シグナル GND接地はLチャネルのみ。平衡回路のグラウンドは L/Rで共有。理由はクロストークやグラウンド・ループ対策、接続機器との対応を考えてのこと。各ポストの使用法と応用はかなり上級者向けとなるのでここでの詳細説明は省く。

   ____________________________

   11、本機の組立と使用部品に就いて

   プロジェクト一覧


   __________________________________

    本機は内部のアルミと鉄の構造材の固定にドイツ製、金属用の高分子接着剤(ロックタイト)を使用した。ボルト類の露出を出来るだけ控え、美装を確保する為。アルミと鉄の接着面はサンドペーパーで擦りメッキや塗装を剥がして強固な癒着が実現するようにした。

   本機製作ではシリコン製クッション脚と固定部材を除いて最高峰・最高級の部品を投入した。高品位、高精度・高信頼・高耐久の軍規格レベルを標準に据えた。メンテナンス無しで一生使えると思う。

   鉄函は米国BUD社製グレー塗装、鉄板構成は堅牢そのもの。寸法は154mm正立方(横・奥行・縦、ハンドルや足含まず)。オクタル・ソケット2個は40年代米国ELCO社セラミック製新品。WESTERNの機器にも使用された世界最高峰のソケット。脱着のフィーリングがなんとも官能的。一度使うと病みつきになる。スイス製LEMO(レモ)5極入出力ジャック2個。レモ・コネクターは 当方アナログ機器のレファレンスとして重用して居る。高精度高耐久高信頼の自動ロッキング機構は指先の軽快な操作で脱着が容易、快適そのもの。一度使うと ELCO同様その官能フィーリングが病み付きになる。RCA ジャック4個は米国SWITCHCRAFT 社製「絶縁」タイプ、近年のどんな高価なジャックよりも信頼の置ける古き良きUS製品。これ以外使う気にならないほど完成度が高い価値ある部品。絶縁/非絶縁タイプ共にグラウンド・ポス トは米国製軍用。グラウンド線(綿被覆極細縒り線)はヴィンテージ米国LENZ製。ロータリー・スイッチ3個は何れも米国GREYHILL社製軍規格品。ロータリー・スウィッチの世界最高峰である。F-15戦闘機などに使われている。一等高価な部品。大型はタイトで確実な操作感覚。回転ノブ3個は何れも米国製航空機用(Avionics Knob)。トグル・スウィッチは仏国APEM社と米国C&K社(By ITT CANNON)製、医療や航空機、ハイエンド・オーディオ器がこぞって採用する高品位部品。ハンダはヴィンテージ英国ERSIN社とNASSAU社のモノを使用。配線材は米国ヴィンテージWE社製24GA単線錫メッキ絹2層巻綿被覆線の新品。BOX底面にシリコン樹脂製の足を装着。以前はプチルゴム製の脚をねじ止め使用していたが経年劣化に弱く3年持たないので変えた。抵抗/コンデンサー基盤は英国製。抵抗素子は全て英国ヴィンテージERIE社製新品。コンデンサーは全て米国製軍用マイカ系。真鍮材黒艶消しハンドルは米国Winchester社製。 WEワイヤーの結束(レーシング)糸は米国ALPHA社製。

   フルバランス平衡伝送には平衡ケーブルが必要。5極ステレオ伝送平衡ケーブルが理想的。

   PHONO平衡バランス伝送ケーブル♪LEMO/DIN5CARDAS4芯シールド


   ステレオ平衡バランス伝送ケーブル♪LEMO5極CARDASケーブル


   SME3012プロトタイプ平衡プロジェクト


   LEMO5極平衡コネクター


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